ある場所に設置されている20インチCRTモニターで、「CONTRASTが十分に上がらない」、「高輝度の映像に対して、右側に尾を引く」という2つの症状が見られた。 このような症状であるため、CRTの寿命や本体の高圧部や電源の不具合が疑われた。
ところが今回のケースでは、的が外れていたようだ。
モニター本体背面のHD/SD-SDI入力モジュールを他の正常なモニターのものと入れ替えてみることにした。
すると、先ほどまで正常であったモニターに症状がそっくりそのまま移ってしまった。入力モジュールの問題でこのような2つの症状が見られるのは興味深い事象だ。
修理の手配の際、メーカーさんからも「症状を伺う限り入力モジュールの部品劣化が疑われる」との回答であった。しかし、入力モジュールからアナログでモニター本体側に信号を渡しているそうで、
モニター本体側の再調整も勧められた。入力モジュールの部品交換によってモニター本体に渡しているアナログ信号に若干のレベル変化が起こる可能性があるのだろうか。
協議の結果、代替機をお借りできない(同機種の代替機が無い)ことも重なって、今回は入力モジュールのみ修理に出すことになった。
先日修理から戻ってきて、おかげで現在は問題なく動作している。
各種の問題がクリアされれば、次はO/Hも検討したいところだ。(次は修理ではなく液晶モニターに機器更新?!)
馴染みのある「1080/60I」や「480/60I」のフレームレートである「30(Hz)」に「1/1.001」を掛ける。
納得。計算結果もまた馴染みの数字が導き出された。ご存知のとおり「29.97(Hz)」は一般的なテレビ放送における実際のフレームレートである。
ここではフレームレートを例に挙げたが、フィールドレートの場合も同様で、「60(Hz)」に「1/1.001」を掛けると「59.94(Hz)」が導き出される。
いつからこの「1/1.001」という表記を目にするようになっただろうか。モニターの仕様書はもとより、技術雑誌などでもこの数字を見かける。 「29.97(Hz)」「59.94(Hz)」などと表記せず、「30(Hz)」「60(Hz)」、そして「フレーム/フィールドレートは1/1.001にも対応」と表記する方が煩雑にならず分かりやすいからだろうか。
モニターの調整で「SET UP」モードを使う方法がある。IkegamiやShibaSoku等のモニターに付いている機能で、これをONにすると垂直偏向が縮まりCRTの中央辺りに帯(または線)が現れる。 これを使用してBIAS(=Back Ground)を調整するというものだ。
SET UPモードをONにしてR,G,BのビームON/OFFスイッチを操作する。
RchのビームのみをONにしてRchのBIASを調整する。ビームの流れていないCRTの黒部分と比較しながら、帯がわずかに赤く光るようRchのBIASボリュームを調整する。同じ要領でGchとBchも調整する。
BIAS調整とは、R,G,Bの各ビームが発光を開始する電圧を決める作業である。モニター調整の概念はこちらを参照。
実はこの調整法、個人的にとても苦手だ。何回かトライしたのだが納得のいく調整結果を得られたことが無い。
周囲を完全に暗転して調整を行っていないというのも一つの要因であろうが、目の特性も起因しているのではないかと思っている。
眼はあまり小さな物の色が判別できないと言われているが、それと同じように、色ごとに認識できる輝度に違いがあるのではないだろうか。
BIASの調整で言うと、赤が発光し始めたと認識できるポイント、緑が発光し始めたと認識できるポイント、青が発光し始めたと認識できるポイントがそれぞれ違うのではないか。したがってBIAS調整がうまくいかない?
個人的に「SET UP」モードを使ったBIAS調整が苦手なので、このような見解を示したが、周囲の条件を整え何度も訓練すればできるようになるのだろうか。
モニターのBRIGHT調整を行う際、カラーバーのセットアップ信号(正しくは「プルージュ」と呼ぶそうだ)を用いる(fig.1)。写真では、見やすいようにBRIGHTを上げている。
SMPTEカラーバーでは、セットアップ信号は-4%,0%,+4%の順番になっているが、マルチフォーマットカラーバーでは-2%,0%,+2%,0%,+4%となっている(fig.2)。
マルチフォーマットカラーバーを用いてモニターのBRIGHT調整を行う場合、-2%と0%部分の違いが判別できず、+4%がうっすら見え、かつ+2%と+4%がかろうじて判別できる程度を目標にする。
通常モニタリングするサブコンの明るさで+4%がうっすら判別できる状態。さらにモニターの周囲を暗転して+2%と+4%が判別できるポイントに調整し運用している。
また、CONTRASTを調整するとBRIGHTも変動してしまうので、両方の調整を数回繰り返す。
fig.2の状態からBRIGHTを絞り込んでいった状態(イメージ)。
-2%と0%部分の違いが判別できず、+4%がうっすら見え、かつ+2%と+4%がかろうじて判別できる。
モニター棚にマウントされているモニターの1台が、偏向異常を起こした。HD/SD両対応のモニターでCRTは4:3。 HDの映像を表示するときには、ちょうどレターボックスのように上下に黒帯がついて表示されている。
HDの素材を表示させていたのだが、突然偏向が拡大し、サイドカット~中間サイズの間のような表示になってしまった。
この時は電源OFF/ONで復帰したのだが、30分後再び再現してしまった。 再び電源OFF/ONで復帰を試みようと一旦電源OFF、そして電源ONしたところ「パチパチパチ…」と音を立て、映像が出なくなってしまった。
変更異常は高圧部がダウンする前兆だったようだ。
10インチモニターを横に2台並べてラックにマウントする場合など、モニター同士を密接させて設置する場合エアフローに配慮する必要がある。 モニター直上はスリット付きのブランクパネルにしたり、場合によってはファンを付けるなどして常に空気が流れている状態を保ちたい。
CRTのモニターを拭くときには、モニターのシャーシなどに触れて静電気を逃がしながら行うと良い。拭いたホコリが再びCRTに付着しにくくなる。
右手でモニター本体の耳を握り放電し、左手でCRTを拭いている。
きれいな布でやさしく拭きましょう。CRT表面が余計に汚れることがあります。
モニターのGAIN(ホワイトバランス)とBIAS(ブラックバランス)を調整をするとき、カラーバーから色信号を抜いた信号(=白黒バー?)を使用すると便利だ。
マスモニでモニター調整の練習をするのはやめましょう。また、可能ならば元の数値を紙などに控えておきましょう。
モニターとテレビでは根本的に設計思想が異なる。
「モニター」はWFMなどと同じ「測定器」であり、基準となるマスターモニターであるから、経年変化などによって色再現性などが変化してはならない。信頼性と耐久性を追及してあると言える。
一方「テレビ」は測定器ではないので、必ずしも信号を忠実に再現しなくてもよい。ユーザーに映像を美しく見せるのが第一だ。
昔S-VHSデッキを「モニター」につないでみてガッカリしたことがある。画質が美しくなく、何よりジッターがひどくてとても見れたものではなかった。 あまりにも酷いのでWFMで観測してみると、Hシンクはもはや矩形波ではなくU字型になり、バーストも正弦波がO字型になってしまっている。
民生機のS-VHSの映像出力に愕然としたのと同時に、テレビはこんなに乱れた波形の映像信号が入力されても美しく再現してしまうのかと驚かされた。
テレビの大きさを表わす「インチ」や「型」。最近は「20V型」とか、「37V型ワイド」という表示を多く見かける。この「V」とは何だろうか。
「V」は液晶テレビなどの薄型テレビのサイズ表示にしか付かない。一方、ブラウン管のテレビは「14型」とか「28型ワイド」と表示され「V」は付かない。
液晶テレビなどの薄型テレビでは、映像が表示されている部分(有効画面)の対角線の長さをテレビの大きさとして表示している。
一方ブラウン管のテレビは、ブラウン管自体の対角線のサイズをテレビの大きさとして表示している。映像が表示されている部分の外側、ふちの内側にブラウン管の端が隠れている。=オーバースキャン。
つまり、例えば同じ「32型」でも液晶テレビの「32V型」とブラウン管テレビの「32型」では、液晶テレビの方が有効画面が若干大きいということになる。
わが家のテレビ SONY KD-28HD900
地上デジタルチューナー非搭載のため、別途専用チューナーDST-HDX9を購入。
山手線の新型車両E231系500番台にはドアの上に液晶モニターが2台ずつ取り付けられている。CMや文字ニュース、運行情報、駅情報などがこれに流れている。
それにしても結構いい液晶モニターを使っている。昼間の明るい車内でも明るく表示されている。真横や下から見てもきれい。
東京の顔、山手線にふさわしい仕様だ。