NTSCにおいて、"カラーバーストとフィールドの位相関係は4フィールドで一巡する"という記述をテキストで目にしたことがある。 これをビジュアル的に理解しようと思い、"ライン毎のバースト方向一覧表"を作成してみた。それが下の表である。
横方向にカラーフレームAのフィールド1、フィールド2、カラーフレームBのフィールド1、フィールド2、次カラーフレームAのフィールド1、フィールド2…をとった。
各フィールド内は左からラインナンバー、カラーバースト方向、そして、ラインの所属をそれぞれ表記している。
カラーバーストの方向を示す▲, ▼であるが、▲はカラーバーストのサイン波が正の方向から始まることを、▼はカラーバーストのサイン波が負の方向から始まることを示している。
ライン毎のバースト方向一覧表(抜粋) |
カラーフレームBのフィールド2、525ライン目のカラーバーストは▲になっている。
この後、次フィールドに移るが、前置等価パルス期間、垂直同期期間、後置等価パルス期間の9ラインにはカラーバーストは付加されないので、表には印がないが、頭の中で▲, ▼, ▲, ▼, ▲, ▼,
…と振っていくと、表のとおり10ライン目は▲になるはずである。
ここで表の左側、カラーフレームA、フィールド1の10ライン目をご覧いただきたい。こちらも▲になっている。つまり5フィールド目で一巡した=4フィールドシーケンスということが分かる。
先日引っ張り出してきたアナログ波形モニター、Tektronix 1740Aを用いて様々な観測を行う。まずはCompositeの波形は何を表示しているのかを観測してみる。
写真左の波形は奇数ライン、1, 3, 5, 7, 9, 11, 13, 15, 17, 19, 21, 23~261, 263, 265, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 281, 283~517, 519, 521, 523, 525 [LINE]を重畳して表示している。
写真右の波形は偶数ライン、2, 4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20, 22, 24~262, 264, 266, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, 282, 284~518, 520, 522, 524 [LINE]を重畳して表示している。
カラーバーストはラインごとに位相が反転している。次の写真は、上写真のそれぞれのカラーバースト部分をMAGNIFYしたものである。
(写真1)奇数ライン波形のMAGNIFY カラーバーストが負の方向から開始 |
(写真2)偶数ライン波形のMAGNIFY カラーバーストが正の方向から開始 |
ただし、1740Aの操作のタイミング(ch切替、MAGのON/OFF等)によっては、カラーバーストの向きが逆転することがあるようだ。
(写真3)奇数ライン波形のMAGNIFY カラーバーストが正の方向から開始 |
(写真4)偶数ライン波形のMAGNIFY カラーバーストが負の方向から開始 |
これは4フィールドで位相が一巡するため(4フィールドシーケンス)であると考えられる。 つまり、写真1, 2では、カラーフィールド1, 2(カラーフレームA)を、写真3, 4ではカラーフィールド3, 4(カラーフレームB)を表示していたと推測される。
負の方向、正の方向というのは、カラーバーストの振幅(40IRE)の50% = 20IRE以上の振幅のあるものをカラーバーストとして規定しているが、
その初めのカラーバーストのサイン波が負の方向から始まるか、正の方向から始まるかを指している。
①のサイン波は規定の振幅に達していないため、カラーバーストとは認識されない。一方、②のサイン波は規定の振幅に達しているため、カラーバーストと認識される。 このカラーバーストの場合、橙色で示したサイン波が最初のカラーバーストとなる。