リファレンスファイルの更新作業が終了

 2011年11月から折を見て続けてきた、スタジオカメラのリファレンスファイル更新作業が2012年2月に終了した。これはカメラヘッドのオーバーホールに合わせて企画し、その進捗に合わせて実施してきたものだ。

 リファレンスファイルとは、AWBやABB、AUTO SETUPなど、AUTO○○を動作させる際の調整目標を保存しておくファイルのことである。これがずれているとAUTO○○を実行しても適切な調整結果にならない。AUTO○○と言っても、カメラが自ら考えて動作しているわけではない点に注意である。

 通常スタジオにおいてAWBやABBを動作させることは無いが、トラブルの際にAUTO○○が正確に動作してくれると非常に助かる。また、カメラヘッドが健全かどうかを知る指針にもなると考えている。

 さて、次は何をしようか。

 リファレンスファイルを操作する際は、必ず上司や保守担当などの責任者に相談すること。誤った方法で操作すると重大な放送事故につながる恐れがある。
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同軸ケーブルテストの結果

 以前、当Webで触れた「同軸ケーブルのテスト」を実施した。
 後輩のAさんに手伝ってもらい30本弱の同軸ケーブルを観測したのだが、1本だけNGのものが発見された。これは5Cのケーブルであった。TSGとWFMを接続し観測をスタートすると、みるみるうちにエラーカウントが上がっていき、EYE開口も目視できないほど乱れてしまっていた。

 ここで「エラー秒」という単位を使用するが、1秒間に1個以上エラーが発生すると「1エラー秒」となる。つまり1秒間に1個エラーが発生していても、100個エラーが発生していても「1エラー秒」ということになる。
 このことから、3分間CRCエラーを観測すると最大でも180エラー秒以上にはならない。実際にNGだった同軸ケーブルは174エラー秒だった。
 6秒間はOKだったのか、観測上の誤差だったのかは突き詰めていないものの、WFMのPICTURE画面では横引きノイズが全体に走り同期が乱れたようになっていたので、この同軸ケーブルが使用不可なのは確かである。

 EYE開口に関してなのだが、3Cの15mケーブルを観測している際、CRCエラーはまったく観測されない「0エラー秒」だったのだが、EYE開口は完全につぶれてしまっていることに気付いた。
 他の3Cの長尺ケーブルも同様の傾向であったため「使用可」にカテゴライズしたが、5Cと3Cでこれほど信号の質が異なるものかと、改めて認識させられる事象だった。

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同軸ケーブルのテストを検討

 特番などで長尺の同軸ケーブルを使用する際、接続は合っているのに信号がつながらないというトラブルが頻発したことがある。 波形モニターで確認するとCRCエラーが多発していたり、EYE開口が完全につぶれてしまうなど、接続に使用している同軸ケーブルが起因のトラブルである。

 これを機に同軸ケーブル総点検の実施を検討している。対象となるケーブルであるが、当初は5Cおよび3Cの長尺FBケーブルをと考えている。長尺とは10m以上のものを想定している。 ご存知の通りFBケーブルは敷設向けのケーブルであり、曲げや張力には弱く、移動用に使用するには難がある。

 チェック方法は、TSGとWFMをテスト対象のケーブルで接続し、3分間CRCエラーのカウントおよびEYE開口の観測を考えている。
 信号源であるが、パソロジカル(チェックフィールド)信号の使用を考えたが、機器のリクロッカーのテストではないので、ARIBカラーバーで十分ではないかと判断した。 なおジッター観測をテスト項目に入れていないのも同じ理由である。

 以上のような作業概要を上司に提案し、早速作業に取り掛かりたいところだ。

Tektronix 1740Aのバックライトを交換

 デジタルHDTVへの理解をより深める為、簡単にNTSCを復習しようと思い、Tektronix 1740Aを引っ張り出してきた。1740Aは1台でWFMとVECTORが監視できる測定器である。 さっそく電源を投入してみたのだが、バックライトがすべて玉切れしてしまっていた。これではスケールが見づらい。

波形は見えるがスケールが見えない。 VECTORは位相が見えず絶望的…。

 7~8年位前だと思うのだが、手元にTektronix WFM601のバックライト用に購入した豆球がある。この豆球と1740Aの豆球は同一のものだろうか。さっそく1740Aから玉切れした豆球を取り出してみる。 作業の前に1740Aの電源をOFFにして、ACを抜いておく。

前面のつまみを六角レンチで
全てはずす。
取り外したつまみ。
このつまみは横から締め付けるタイプ。

フロントベゼルをはずす。
1740A本体をケースから5cm程抜き出し、
ベゼルを裏から押し出した。
豆球をペンチなどでつまみ引き出す。
豆球が割れないようにペンチの先端に
ウエスを巻くなどした方が良さそう。

新しい豆球。
懐かしい"SONY Tektronix"封筒入り。
型番を比較してみると同一であったので
早速交換することに。
左は古い豆球で、右が新しい豆球。

無事点灯した。 VECTORの方もすこぶる良好。

さて、何を観測しようか。

何に使用する工具?

 長さはおよそ30cmくらい。先端部分の直径は1.5cmほど。黄色の部分がグリップ。工具箱にこのような工具がある。これは一体何に使うものなのか。

前景 先端部分 グリップ

米TROMPETER Electronics社製。パーツナンバーは「RT1L」

 ラックマウントされている機器のBNCケーブルの抜挿時などに使用する。手が届きにくくケーブルやコネクタ同士が干渉している場合に非常に重宝する。 仕様書のタイトルには「REMOVAL TOOL」=「取り外し工具」とある。


先端にBNCコネクタをはめ込んで、手の届きにくい場所のBNCケーブル抜挿時に使用する。